研究課題/領域番号 |
21K08876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 達哉 北海道大学, 大学病院, 教授 (20624232)
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研究分担者 |
櫻井 遊 東北大学, 薬学研究科, 講師 (00707234)
畑中 佳奈子 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (10399834)
小川 美香子 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (20344351)
樋田 泰浩 藤田医科大学, 大学病院, 教授 (30399919)
畑中 豊 北海道大学, 大学病院, 特任准教授 (30589924)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | がん糖鎖抗原 / 光免疫療法 / ナノ粒子 / siRNA送達 / 肺癌 |
研究開始時の研究の概要 |
糖タンパク質であるMUC1は,がんの悪性化に伴いムチン上の糖鎖の構造が変化し,正常細胞では検出されない単純で短い糖鎖抗原の発現が認められます。本研究では独自に作製したMUC1がん特異的糖鎖抗原のみを選択的に認識する新規モノクローナル抗体と光感受性物質であるIR700との結合体を用いて、がん細胞のみを特異的に攻撃する新たな治療法を確立します。さらに近赤外線照射後に起こる腫瘍深部へのナノ粒子の運搬増強効果を応用して「腫瘍ホーミングペプチド含有ナノ粒子によるsmall interfering RNA送達」を併用し,新規の肺がん治療法の開発を目指すものです。
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研究実績の概要 |
今年度はMUC1-Tn高発現株である肺癌細胞株RERF-LC-KJ,H2228、乳癌細胞株T47D,ZR75-1 、低発現株であるA549細胞を用いてin vitro実験を行った。 MUC1-Tn抗体(SN101, SN102)とIR700を1:5の割合とし、精製後一抗体当たりIR700が2.10-2.25分子程度結合していることを確認した。MUC1-Tn抗体-IR700は細胞添加後すぐにはイメージングできず、24時間後が一番適切であり、細胞膜へ結合した状態ではなく、細胞内へ取り込まれた状態であった。照射時間は5分程度(45J)でブレブ形成・細胞の膨張が認められ、10分(90J) で十分であった。 さらに細胞膜のMUC1-Tn発現量評価を目的として、MUC1-Tn抗体とIR700を1:10の割合、さらにMUC1-Tn抗体とAF488を1:15の割合とし、一抗体当たりIR700が3.76分子程度、AF488が2.58分子程度結合していることを確認し、FACS解析を行った。高発現株では明らかな右方移動を認めた。また低発現株A549もわずかに右方移動を認め、MUC1-Tn抗体の細胞膜への結合を確認した。次に近赤外線90J照射でタイムラプス解析を行ったところ、ブレブ形成・細胞の膨張が認められ、特にT47D細胞では著明な細胞死を確認した。MTTアッセイでdose-dependentにcell viabilityの低下が認められた。 次にIn vivoの実験でT47D(C.B17.SCIDマウス)およびZR-75-1(NOD SCIDマウス)のXenograftモデルを用い、SN102-IR700(100μg/匹)を尾静注し、50J近赤外光による照射を行った。病理検査にて、SN102-IR700投与→照射群において照射した腫瘍内部で腫瘍細胞の消失像をみとめ、著明な治療効果を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は昨年度の遅れを取り戻し、研究は順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、先に述べた照射した皮下腫瘍の免疫染色等を行い、MUC1-Tn抗体の腫瘍内分布等の検討を進めていく。 さらに腫瘍細胞を新たに購入し、In vivo実験を継続する。長期観察群を作成し、腫瘍径の経時的観察・予後 (生存曲線)を評価する。MUC1-Tn抗体SN101とSN102の違いについてもさらに検討する。抗体の内在化の阻害(細胞膜に維持)に関して検討する。
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