新型インフルエンザウイルスの出現予測と流行防止に関する研究

研究課題番号:01480103

1990年度 研究成果報告書概要

代表者

    • 喜田 宏
    • KIDA, Hiroshi
    • 研究者番号:10109506
    • 北海道大学・獣医学部・助教授

研究課題基本情報

  • 研究期間

    1989年度〜1990年度

  • 研究分野

    応用獣医学

  • 審査区分

  • 研究種目

    一般研究(B)

  • 研究機関

    北海道大学

  • 配分額

    • 1989年度:4200千円 (直接経費:4200千円)
    • 1990年度:2500千円 (直接経費:2500千円)

研究概要

新型インフルエンザウイルスの出現機構に関する我々の仮説を実証し、さらに、今後出現し得る新型ウイルスの抗原亜型の予測に資するため、ウイルス遺伝子を詳細に解析するとともに、豚を用いて感染実験を実施し、以下の成績を得た。

1.中国南部の家禽から分離されたH3インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)の抗原性ならびにその遺伝子を詳細に解析した。得られた成績から、中国南部では家禽が渡り鴨由来ウイルスを豚に伝播する役割を果たしたことが分子生物学的に裏付けられた。

2.由来宿主を異にするH3およびH1インフルエンザウイルスに対する豚の感受性をしらべた。実験の結果、豚の呼吸器は豚および人のインフルエンザウイルスのみならず、渡り鴨および家鴨のH3ウイルスにも感受性を示すことが明らかになった。さらに、豚の呼吸器では容易に遺伝子再集合ウイルスが産生されることが実証された。

3.H2ーH13HA亜型の鳥類由来インフルエンザウイルスの豚における増殖と抗体応答をしらべた。実験の結果、これまで鳥類のみに分布するとされていた多くの抗原亜型のウイルスが豚に感染し、その呼吸器で増殖することが明らかとなった。またこれらの鳥類由来ウイルスに感染し、鼻汁中にウイルスを排泄した豚の血清はホモのウイルスの血球凝集を阻止しなかったが、明らかな血中抗体応答がELISAによって検出された。

以上の成績は何れの抗原亜型のHAをもつウイルスも豚に導入され得ること、ひいては新型ウイルスとして今後人の間に出現する可能性があることを示唆している。また血球凝集阻止試験による血清疫学成績が必ずしも正確な情報を提供しないことが示された。

発表文献

  • Yasuda,J.,Shortridge,K.F.Shimizu,Y.& Kida,H.: "Molecular evidence of a role of domestic ducks to introduce avian H3 influenza viruses to pigs in southern China where A/Hong Kong/68 (H3N2) strain emerged" Journal of General Virology. (1991)

  • Kida,H.,Webster,R.G.,Kawaoka,Y.,Shortridge,K.F.,Naeve,C.W.,Ito,T.,Itakura,C.,Mori,F.& Shimizu,Y.: "Origin of the hemagglutinin gene of A/Hong Kong/68 (H3N2) influenza virus. In:Current Topics in Medical Virology (Ed.by Chan,Y.C.,Doraisingham,S.& Ling,A.E),pp 365ー376" World Scientific,Singapore/New Jersey/London, 444 (1989)

このページのURI

http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/01480103/1990/6/ja