日本の近代化と科学技術-田中舘愛橘の活動を事例に-

研究課題番号:07458008

1996年度 研究成果報告書概要

代表者

    • 杉山 滋郎
    • SUGIYAMA, Shigeo
    • 研究者番号:30179171
    • 北海道大学・大学院・理学研究科・教授

研究課題基本情報

研究分担者

    • 高木 博志
    • 研究者番号:30202146
    • 北海道大学・文学部・助教授
    • 吉田 文和
    • 研究者番号:70113644
    • 北海道大学・経済学部・教授

研究概要

1.岩手県二戸市の歴史民族資料館に保管されている、物理学者田中舘愛橘の残した遺稿類(松浦明氏所有)のマイクロフィルムについて、それらの内容、および相互の関連を調査するとともに、電子的なデータベースに反映させた。そのデータベースは、平成9年度の早い時期に、インターネットで公開の予定である。

2.さらに、遺稿類の内容を、同時期の他の文書資料ともあわせて分析し、各研究者はそれぞれ次のことを明らかにした。

a)田中舘の重要な活動であったローマ字運動について、ローマ字運動と科学者ないし科学研究活動との関わりについて調査し、なぜ田中舘以外にも多くの科学者がローマ字運動に関わったのか、科学者たちはローマ字運動に何を期待したのか、について明らかにした。また、ローマ字運動における日本式とヘボン式との対立に重きを置くことなく、ローマ字運動が全体として何を目指したのかを、それを取り巻く学問的・社会的状況の関わりとともに明らかにした。(杉山滋郎)

b)田中舘愛橘の中国観および天皇観を明らかにするとともに、彼のローマ字論を戦時下を中心に分析し、1937年に訓令式ローマ字が政府に採用される一方で、ローマ字=敵性語という圧力がある戦時下で、田中舘愛橘が日本式ローマ字をいかに社会的に利用・運用しようとしているかを明らかにした。(高木博志)

c)田中舘愛橘と震災予防調査会との関わりについて分析し、田中舘は震災予防調査会の成立に深く関わるとともに、自らの研究課題と方向も調査会の活動と一体になって展開されたことを明らかにした。田中舘は、地震の予知につながる地震自体の理学的研究に取り組み、予知の手掛かりになると考えられた地磁気・重力・緯度変化・地温の観測を行ない、それを国際的研究のネットワークの中に位置づけたのである。(吉田文和)

発表文献

  • 吉田晴代・杉山滋郎: "田中舘愛橘とelectromagnetic declinometer" 科学史研究. 35・199. 168-178 (1996),

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