発達期視覚野の可塑性における内因性脳由来神経栄養因子の役割

研究課題番号:15029243

代表者

  • 2003年度~2004年度

    • 畠 義郎
    • 研究者番号:40212146
    • 国立大学法人鳥取大学・医学系研究科・教授

研究分担者

    • 大島 稔
    • 研究者番号:20342230
    • 関西鍼灸短期大学・助手

この研究課題のドキュメント

研究課題基本情報(最新年度)

  • 研究期間

    2003年度〜2004年度

  • 研究分野

  • 審査区分

  • 研究種目

    特定領域研究

  • 研究機関

    鳥取大学

  • 配分額

    • 総額:6900千円
    • 2003年度:3500千円 (直接経費:3500千円)
    • 2004年度:3400千円 (直接経費:3400千円)

研究概要(最新報告)

発達期の哺乳類視覚野は視覚遮断に強く反応し、生後初期に一方の眼の視覚入力を短期間遮断するだけで、視覚野ニューロンは遮断された眼に対する反応性を失う。この可塑性にMAPキナーゼ(ERK)の活性が必須であるとの報告がなされたが、視覚遮断により実際にこれらの分子の動態に変化があるかどうかは不明な点が多い。そこで、片眼遮蔽によりERKの量や活性が調節されるかどうか、その効果は年齢依存的かどうかを明らかにするため、ラットの一次視覚野で、ERKの活性化状態であるリン酸化ERKの片眼遮蔽による変化を、免疫組織化学染色法により調べた。24時間の短期片眼遮蔽により、遮蔽眼から入力を受けている領域でリン酸化ERK陽性細胞の有意な減少が見られた。両眼遮蔽動物では、片眼遮蔽よりも顕著な陽性細胞の減少が観察された。両眼遮蔽では片眼遮蔽のような急速な可塑性は発現しないことが知られている。従って、ERKの活性は可塑性発現に依存して変化するのではなく、視覚入力の強さを反映すると考えられる。成熟動物においても、臨界期動物と同じく、視覚遮断によるリン酸化ERK陽性細胞の減少が認められた。このことから、ERKのリン酸化は生後齢にかかわらず視覚入力により調節されていることがわかった。すなわち、臨界期の高い可塑性はERKの活性調節の違いによって作り出されているのではないと考えられる。次にERKの核移行に注目したところ、臨界期の短期片眼遮蔽によって、核がリン酸化ERK陽性である細胞の割合が劇的に増大していることがわかった。さらに、このような変化は両眼遮蔽や成熟期動物では見られなかった。これらの結果は、臨界期のみに見られる高い可塑性発現にERK1/2の核移行が重要な役割を果たす可能性を示すものである。

このページのURI

http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/15029243