研究課題
平成5年度には、藤田・友永がアメリカ霊長類学会(アメリカ)に参加し、松沢が国際行動発達学会(ブラジル)と国際動物行動学会(スペイン)に参加して、研究発表と意見交換をおこなった。藤田・友永は、学会参加の後、エモリ大学言語研究センター、ヤ-キス霊長類研究所、セントラルワシントン大学類人猿研究施設を歴訪し、米国の第一線の霊長類研究者と論議をおこなった。また、シッドマン、イバーセン、ウォルラーベンの3氏が来日して、犬山で共同研究と意見交換をおこなった。シッドマン氏は、短期の滞在であったが、この間にセミナーや個別の研究者との深い議論を通して、今後の比較認知研究に対する有意義な示唆を与えた。イバーセン氏は長期に滞在し、チンパンジーの図形描画に関する実験をおこない、大きな成果を得た。ウォルラーベン氏は約2週間の滞在の間に、霊長類の実験的な行動分析法やそのための実験装置を学んで帰国した。一方、国内の研究組織を構成する霊長類研究所の研究者はそれぞれ霊長類の知性に関する実験的研究をおこなった。松沢は主としてチンパンジーの自由描画と数の認識・記憶について分析した。小嶋は主として加齢に伴うニホンザルの認知機能の減退とチンパンジーのあいさつ行動を分析した。藤田は主としてチンパンジーとアカゲザルの錯視知覚の分析と、ニホンザルの視覚探索に関する分析をおこなった。友永は主としてチンパンジーの視覚探索に関する分析とチンパンジーのラテラリティに関する分析をおこなった。これらの研究成果は、日本霊長類学会、日本心理学会、発達心理学会、米国基礎心理学会、国際霊長類学会等で発表される予定である。
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