研究概要 |
大気中亜酸化窒素は温室効果気体であり、一分子あたりの温室効果気体は二酸化炭素のおよそ200倍と推定されている。この温室効果気体は確実に年間あたり0.5パーセント増加しているが、その増加の原因はまだ確実に把握されていない。本研究では今まで十分に研究がなされていない亜寒帯沿岸城での亜酸化釜素の発生と消滅、大気への逃散の詳査を実施した。その結果各季節での亜酸化窒素逃散量は春16.2μmol/m2/day,夏5.8μmo1/m2/day、秋35.3μmol/m2/day、冬28.3μmol/m2/dayを得た。亜寒帯の沿岸域はこれまで考えられていた以上に重要な亜酸化窒素の供給源であることが明らかになった。 陸域生態系でも活発な亜酸化窒素の発生があることがしられているが冬季積雪下での逃散量が以外と大きいことが示唆された。積雪下での草原、森林で亜酸化窒素発生量の測定を北大校内草地で実施した結果、平均値は一平米一日あたり0.5マイクロモルであり、積雪期に年間逃散量の約60パーセントが大気中に放出されていると見積られた。北大苫小牧演習林では表層4cmから10cmの濃度勾配と拡散係数から林床―上壌間のフラックスを算出した。亜酸化窒素の放出も顕著な季節変動を示さず、約15micromo1/m2/day程度であった。亜酸化窒素のフラツクスの顕者な季節変動と示さない土壌は珍しい。
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