研究課題
ホール型推進機は内部にプラズマを発生させ、イオンを電気的に加速、排出することで推進力を得る電気推進機のひとつであり、他の電気推進機であるイオンエンジンなどに比べ、構造が単純なため小型化が可能であること、さほど高電圧を使用しないため電源を軽量化できること、イオンによる損耗を受けにくいため長寿命であることなどが長所としてあげられ、次世代の人工衛星のエンジンとして有望である。一方で、推進機内部でプラズマを生成する際に、その電離不安定性のため、放電電流が振動を引き起こし、これが発生する作動領域で作動させることは電源への負荷等より好ましくない。一般に、放電安定化のためには中空形状の陽極を用いるとよいとされるが、そのメカニズムはこれまで明らかにされてこなかった。そこで、本研究では粒子法を用いた数値解析コードを開発し、ホール型推進機の中空陽極内部の観測を行い、その知見をもとに、作動安定化を実現する陽極形状を見出すことにした。平成19年度は、年次計画にあった通りに数値解析コードの開発を行った。その結果、作動が安定な際は中空陽極内にてプラズマの生成が十分に行われ、陽極表面に正のシースが形成されており、一方で不安定な状態では、陽極外部にてプラズマが主に生成されており、陽極表面では負のシースが形成されることが明らかになった。この数値解析コードは粒子法を用いているため非常に計算コストがかかり、パラメータを振るのは現実的ではないため、MPIを用いて並列化を行った。この結果、8CPUの並列計算機を用いて計算時間が1/6にまで短縮することが可能となった。
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Vacuum (掲載決定)
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