研究概要 |
体性感覚刺激の認知に関して、一次感覚皮質に至る中枢伝導時間(central conduction time,CCT)計測に関する研究を進めてきたが、今年度はCCTの加齢による変化について検討を加えた。20〜78歳の健康成人138人を対象として、左正中神経の手首刺激による体性感覚誘発電位(somatosenory evoked potential,SEP)を刺激同側の鎖骨上窩部(ERb点)、第6頸椎棘突起部、前頸部、頭皮上前頭部(国際10-20配置法のFz)、刺激対側の頭頂部から頭部外基準で記録した。Erb点の反応(N9電位)、脊髄反応(N13電位)、皮質反応(N20電位)のそれぞれの立ち上がり潜時、及びCCT(N20電位とN13電位の立ち上がり潜時差)を計測した。これらのパラメーターについて、被検者の身長、年齢を説明変数とした重回帰分析を行った。N9電位、N13電位、N20電位のそれぞれの立ち上がり潜時、CCTのいずれも同様に被検者の身長、年齢に正相関した。このことから、体性感覚刺激の認知に要する時間に関しては、その伝導路である末梢神経及び中枢神経系の両者において、反応伝達に伝導路長を反映する身長のみならず、加齢の影響を考慮すべきであると考えられた。 1〜2msecの分析時間で48チャンネル記録を可能にする増幅器、A/Dコンバータ-、コンピューター・ソフトウエアーを現在制作中であり、次年度では大脳内の刺激の認知経路とその反応様式について分析することが可能になる。
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