糖尿病による病的血管を対象とする切断手指再接着術では、血管壁の異常によって、術後血管開存率および再接着指の生着率は、さらに低下することが予測されるが詳細な検討は未だ行われていない。 OLETFラットは、臨床的に95%以上を占めるインスリン非依存性糖尿病の自然発症モデル動物として近年注目を集めている。 そこでわれわれは、このOLETFを動物モデルとした実験を行い、引き抜き損傷が、糖尿病状態における血管に及ぼす影響を検討した。 その結果、OLETFを用いた血管引き抜き損傷モデルでは、血流遮断後の血管開存率が著明に低下していた。 また、これには、血管壁の伸長性の異常による血栓形成の促進が関与していることが示唆された(平成10年度の研究結果)。
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