研究課題/領域番号 |
08671659
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐浦 隆一 神戸大学, 医学部, 助手 (10252769)
|
研究分担者 |
藤田 健司 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (40271043)
水野 耕作 神戸大学, 医学部, 教授 (90030981)
|
キーワード | 軟骨細胞 / サブスタンス P / 関節破壊 / メタロプロテアーゼ / ストロメリシン / 慢性関節リウマチ |
研究概要 |
慢性関節リウマチにおける軟骨破壊の機序として種々の破壊機序が報告されているが、近年、神経系と免疫系との関わりが重要視され、炎症性疾患の発症や増悪因子として、末梢神経終末から放出される神経伝達物質であるサブタンスPなどの神経ペプタイドの作用が注目されている。 そこで、本研究では慢性関節リウマチの病態と神経ペプタイドの関連性を検討するために、まずin vitroにおいて軟骨細胞に対する神経ペプタイドの作用を検討した。関節軟骨細胞はウシ関節軟骨細胞より分離培養し、関節破壊に重要な役割を演じているマトリックスメタロプロテアーゼの一種であるストロメリシンの関節軟骨細胞からの放出に及ぼすサブスタンスPの影響について検討した。関節軟骨細胞に炎症性サイトカインの一種であるインターロイキン1βを添加すると、軟骨細胞培養上清中のストロメリシンの酵素活性は増加した。また、神経ペプタイドの一種であるサブスタンスPを添加すると軟骨細胞培養上清中のストロメリシンの酵素活性はインターロイキン1βと同様に、添加したサブスタンスPの濃度に依存して増加し、関節液中で検出されるサブスタンスPと同濃度のサブスタンスP(10^<-9>M)を添加することにより統計学的に有意な酵素活性の上昇が認められた。一方、関節軟骨細胞の細胞外基質産生に及ぼす影響について検討したが、10^<-6>MのサブスタンスPを添加しても、軟骨細胞のグリコサミノグリカン合成に影響は認められなかった。 すなわち、神経ペプタイドの一種であるサブスタンスPは関節軟骨からのマトリックスメタロプロテアーゼの放出を促進することにより、炎症下における関節破壊に重要な役割を演じていることが明らかとなった。
|