1) 関係資料の発掘、収集、整理とデータベース化 本研究にとって基礎資料の発掘、収集、整理は最も重要な作業であり、本年度も当初の研究実施計画に基づき、前年度に引き続いて関係各資料の発掘、収集に努めた。その結果、中国人留学生が組織した社会科学研究会、雑誌〈留東学報〉をはじめ、覃子豪、顔一烟等東京左連関係者の初歩的資料、彼らが日本語を学んだ東亜高等予備校の在籍者名簿の一部などを発掘、収集した。上記資料はすべて埼玉大学に集中し、現在もその整理とデ一タベース化が進行中である。またこの過程で、30年代日本の中国人留学生の文学・芸術運動を取り上げるならば、研究対象を大陸からの留学生だけにとどめず満州、台湾からの留学生も射程に入れるべきではないかとの示唆を受け、現在当該研究者との連携、資料の掘り起こし、広がりを追求中である。本研究は資料の発掘、整理を含め緒についたばかりである。日本人関係者としては秋田雨雀、藤森成吉、村山知義等の関係資料を発掘したが、まだまだ不十分で、今後も関係各資料の発掘、収集、整理、データベース化に努めたい。 2) 成果の公表 萌芽的研究である本研究的なものは資料、成果の公開、共有が何よりも急務であろう。それが次への進展、土台でもある。本研究は上記のようにまだ緒についたばかりだが、現在満州、台湾の中国人留学生の研究者とも連携しながら冊子体の論文資料集を計画中である。
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