本年度は、曲がった空間の上の非可換場の理論、及び行列模型の拡張について調べた。 曲がった空間の上の非可換場の理論に関しては、まず非可換球面の上の場の理論を構築するため、SU(2)のリー環に値をもつ様な背景場を考察し、そのまわりで行列模型を展開すると、非可換2次元球面の上の場の理論が正しく導出できることを明らかにした。これを拡張して、一般の曲がった時空の上での非可換場の理論の考察も行ない、一般座標不変性などが行列模型の中にどの様に埋め込まれているのかを調べた。このことは、行列模型が正しく重力を記述している大きな証拠となり、今後の行列模型による超弦理論の解析への重要な布石となりうる。 行列模型の拡張に関しては、一般座標不変性をよりあわらに持つような模型を構築し、不要な場について積分することで、もとのタイプIIB型模型が導出できれば、より重力に付随する対称性が明らかとなる。我々は、まずIIB行列模型の自然な拡張として超対称リー代数を使った行列模型を提唱しIIB行列模型ではグローバルな対称性でしかなかったSO(10)をローカルな対称性としてもつ行列模型を考察した。
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