研究概要 |
1.開発したシステムとモデルの途上国への適用:昨年度までに日本と韓国の都市への適用でその有用性を確認してきた,環境ゾーニングマップ作成支援エキスパートシステムおよびセルラーオートマタ市街地拡大予測モデルをインドネシア・マカッサル市とスリランカ・コロンボ都市圏に試験的に適用し,途上国の都市への適用の有用性と課題を考察した。その結果,(1)エキスパートシステムについては,一部データの制約から代替データを使用せざるを得なかったが,推論結果のゾーニングはほぼ妥当なものであること,(2)市街地拡大予測モデルについても,一部に不十分な点がみられたものの,ほぼ現状を再現できることが確認された。 システム改良の課題としては,エキスパートシステムでは途上国の実情に合った環境ゾーニング区分や環境配慮方針の検討が今後さらに求められること,市街地拡大予測モデルでは,途上国の都市特有の市街地形成要因などをモデルに組み込む必要性も明らかとなった。 2.都市開発の適性評価支援GISツールの構築と適用:上記のエキスパートシステムと市街地拡大予測モデルを地理情報システムと統合することで,(1)エキスパートシステムでは,意志決定者の環境に対する価値判断をゾーニング結果に反映でき,かつ(2)市街地拡大予測モデルでは,将来人口フレームや新規開発密度の設定,さらに市街地拡大パターンに影響を及ぼすパラメータ設定など,さまざま開発条件に基づく将来の市街地拡大変化のシミュレーションを可能にするツールを提案した。さらに(3)これらのゾーニングマップと市街地拡大予測結果を重ね合わせることで,環境保全や公害災害発生防止の立場からみた,都市開発の適性評価を支援するツールを提案した。最後に(4)インドネシア・マカッサル市への適用を通して,ツールの有用性を示すともに,当市の都市開発に対する具体的で有益な提言を示すことができた。
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