研究課題/領域番号 |
11691012
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
小川 英文 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20214025)
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研究分担者 |
松村 博文 国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (70209617)
小池 裕子 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (40107462)
青柳 洋治 上智大学, 外国語学部, 教授 (60146800)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | ラロ貝塚群 / 狩猟採集社会 / 相互依存関係 / 年代測定 / 安定同位体分析 / 古食餌分析 / 水田址検出 / 地域的編年体系 |
研究概要 |
1.平成7〜9年度科研調査に引き続き、カガヤン河下流域に分布するラロ貝塚群の発掘調査を続行した。カガヤン河両岸の河岸段丘上に立地する8つの貝塚12ヵ所および1つの内陸貝塚の発掘調査を行い、当該地域編年体系確立を確立した。 2.ラロ貝塚群と同時期に営まれた遺跡の広がりをカガヤン河河口から50kmまで捉えることができた。 3.カガヤン河西岸サンロレンゾ貝塚において900m^2の発掘調査を継続し、貝廃棄、貝塚形成過程パターン解明のための資料を得ることができた。また1500年〜500年前の3期にわたる墓葬を確認しそれぞれ異なる埋葬形式を明らかにした。 4.各遺跡から得られた人骨・動物骨・炭化物資料の放射性炭素年代測定を九州大学・福岡大学・名古屋大学の協力により実施した。その結果、貝層形成期の黒色土器の年代が1500〜1000年前、貝層下シルト層中の赤色土器が3000年前という絶対年代での予測が可能となった。また人骨の同位体分析による古食餌分析の結果からは、黒色土器文化層期の人々は食料資源としてのシカ、イノシシなど陸棲動物への依存度が高かったとの結果を得ることができた。 5.先史貝採集社会の生業基盤復元のために貝塚後背地で水田址調査を行った。そのため弥生時代水田祉調査の経験をもつ専門家が参加し、3ヶ所で複数枚の水田面を検出した。さらに各水田面からイネのプラントオパールを採取し、分析中である。 6.出土土器の分析結果を総合して、3000年前以降の当核地域の編年体系を以下のように確立した;有文赤色スリップ土器→無文赤色スリップ土器→有文黒色土器→無文黒色土器→貿易陶磁器・褐色土器 7.これまでの調査成果を総合して、小川は狩猟採集社会と農耕社会との相互依存関係の歴史プロセスについて、田中は低地農耕社会の政治的統合過程についての理論構築の研究を行い、成果を公刊した。
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