過去3年間の研究で以下の結果が得られた。 セルフライゲーションPCRの条件の至適化ができた。2)拡張型スペーサーオリゴヌクレオチドチップを作成し、スポリゴタイピングより優れていることを確認した。3)我が国の臨床分離株では挿入配列IS6110が優先的に挿入される領域での、挿入位置の多様性が乏しいことが判明した。4)臨床分離株のgyrA/B遺伝子を含むDNA断片の増幅後、塩基配列を決定し、薬剤耐性に関与しない塩基置換により2種にタイピングできることが判明した。 以上の結果より、本年度はDNAチップにスポットすべきキャプチャーオリゴヌクレオチドの種類を増やし、タイピング能を向上させるための研究を実施した。多型を検出するためのPCRとしてERIC-PCR、IS6110マルチプレックスPCR、IS6110間PCRの反応条件の指摘化を行った結果、実施した3種の方法のうちで最も良好な結果が得られたのはIS6110間PCRであった。この方法で臨床分離株の約80%を型別できる至適条件の決定ができた。 この方法により増幅されるDNA断片の塩基配列の決定を行い、キャプチャーオリゴヌクレオチドとしてDNAチップにスポットし、さらにこれらをプローブとしてハイブリダイゼーションを行うことにより再現性の良い結果が得られる可能性が予想された。
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