研究概要 |
本研究の目的は,ネットワーク上に制御ノードが多数配置された大規模分散制御型FAシステムの,制御ソフトウエアを効率的に開発するための,モデリングからシミュレーションに至るツール群を実用化することである.H12年度の成果は,下記のようにまとめられる。 (1) 差分モデリングに基づく制御対象モデルの迅速モデリングツール開発 デザインパターンを用いたモデル設計手法を導入し,予めUMLで記述された参照モデルから,特定デバイス固有の構造と状態遷移の差分のみを拡張記述するだけで,最小限の作業で制御対象のモデル構築が行える手法を提案した.また,この手法を組み込んだモデリングツールをJava言語で開発し実際のモデリングに適用し,数十種類のFA用BA用機器のモデル実装コードを,従来の手作業に比較し,極めて短期間で構築できることを実証した.(戸村・山元) (2) StateChartに基づく制御対象モデルの動的挙動テストツールの開発 StateChartで規定された機器の挙動仕様に対し,(1)のツールで作成されたモデル実装コードの挙動が一致するを検証するため,テスト系列自動作成実施ツールをJava言語で開発した.このツールにより,複雑な階層状態と条件付遷移の挙動をもつモデル実装コードのテストを自動化でき,従来手作業で9日間を要したテストを,約1日に短縮できることを実証した.(金井・岸浪) (3) 協調シミュレーションに基づく分散制御シミュレータの開発 開発された制御対象モデル間でのイベント通信を,独自のデザインパターンに従って,高速実行できるメカニズムを実装し,分散制御システムの協調シミュレーションを行うツールを開発した.このツールにより,実システムにおける稼動時のネットワーク負荷や平均処理時間遅れを,シミュレーションで再現できることを,具体的なBAシステムを対象として実証した. (山元・金井・戸村)
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