研究課題
最終年度にあたる本年度は、まとめの研究を行った。特に、これまでの研究成果を統合し、その有効性を評価するため、音声認識モジュール、音声言語理解モジュール、コンピュータグラフィクス・モジュール、タスクプラニング・モジュールを統合化し、仮想空間上で動作するソフトウェアロボットのプロトタイプシステム(K4)を作成した。このソフトウェアロボットは、音声で与えたコマンドに含まれる省略語の補強、指示語の指す具体的なものの同定、「あのー、えーと」などの冗長語(フィラー)の除去、繰り返しや修復表現の理解と、コマンドの意図した行動を行うことができる。ロボットの行動を仮想空間上の動作として可視化するために、コマンドに含まれる不明確性(Vagueness)の問題を解決しなければならない。「右に進め」というコマンドに含まれる「右に」とは、どの程度右なのか、無限にある右の位置の可能性の中から一つ選んで決める必要がある。同様なことが「コップを掴む」という動作を可視化する場合にも生じる。以上がVaguenessの問題の例である。また「右」とは話者から見た右かロボットから見た右では位置が異なる。ロボットが相対的な位置を誤解した場合には、それを検出し動作をやり直す必要がある。いずれも動作の可視化にともなって生じる新しい問題であるが、これまでの音声言語理解の研究では見逃されてきた重要な問題である。以上に対する具体的な解決方法を提案し、研究成果をシステムへ組み込んでいる。上記いずれの研究成果もハードウェアのロボットにも直接適用可能である。「うなずき」など非言語的なコミュニケーションとともに今後さらに研究すべき研究課題として言語理解とロボットの行動を結ぶための辞書構築、言語行為論と発話意図の研究など引き続き研究する必要がある。話し言葉についての言語学的な研究も緒についた段階にある。本研究グループが創始した第2回の国際ワークショップ(Second International Workshop on Language Understanding and Agents for Real World Interaction LUAR 2005)をシンガポールで主催した。
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