研究分担者 |
柴原 純二 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60334380)
宇於崎 宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10296246)
鄭 子文 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90285768)
山内 直子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90311638)
竹内 賢吾 東京大学, 医学研附属病院, 助手 (40323612)
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研究概要 |
本研究では対象として,リンパ腫の中では膿胸関連リンパ腫,上皮性腫瘍としてはEBウイルス関連胃癌の二つの腫瘍に的を絞って,発生機構解明を目指している. EBウイルス関連胃癌SCIDマウス移植株KT, EB陰性胃癌SCIDマウス移植株2株について,Affimetrix社GeneChipを用い遺伝子発現プロファイリングを行った.サイトカイン遺伝子群の中でKTに唯一高発現していたのがIL-1βであった.Northern blot, Western blot, ELISAのいずれの解析においてもKT株にIL-1β高発現が確認された.手術例(EBウイルス関連胃癌,陰性胃癌)について,RNA-in situ hybridizationによってIL-1βmRNAの発現を検討したところ,EBウイルス関連胃癌にのみ陽性シグナルが認められた.胃癌培養細胞株TMK1ではIL-1β添加により増殖が促進されることから、EBウイルス関連胃癌の増殖にIL-1βがautocrineの増殖因子として関与している可能性がある. EBウイルス関連胃癌では染色体欠失,遺伝子不安定性は稀である.プロモーター領域のメチル化が様々な癌で観察されているp16,p15などの遺伝子発現を検討すると,KTの遺伝子発現プロファイルでこれらの遺伝子発現が減弱していた.胃がん手術検体を用い,Methylation-specific PCR法によって,p16,p15を含む7種のDNAプロモーター領域のメチル化を検討すると,EBウイルス関連胃癌で極めて高頻度にメチル化が認められた.P16遺伝子では,メチル化に相関して免疫組織学的発現が減弱していた.以上から,EBウイルス感染によって引き起こされた感染細胞遺伝子のメチル化が癌化の一因となっている可能性がある. 現在,同様の検討が膿胸リンパ腫においても進行中である.
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