本研究では将来保育者となる学生に子どもの側からの視点に基づきながら、日本の伝統的な音楽文化を通して学生がよりよい保育者となるために、自ら自己改革を行う教育の内容と方法を検討することを目的としている。 今年度は本研究者自身や学生が、日本の伝統的な音楽文化の実践を通して何を感じ学んだのかを明らかにするとともに、平成15年から18年の4年間における研究成果のまとめを行った。学生は「地唄舞」や民謡等の実践から、日本の伝統的な音楽文化を学ぶ意味が次のようなことにあると述べていた。(1)日本の文化に触れることや伝統芸能を身につけるため、(2)自分と向き合い精神的な面の強さを養うため、(3)ひとつのことに集中して取り組み、物事を深く見る方法を学ぶため、などをあげている。また、その舞を先輩、後輩の間柄の中で教え、学び合う活動からは、人に伝える事の難しさを実感し、相手の反応によって自分を見つめ成長する事ができると感じていた。また教え、教えられる中から相互に感謝しあうことの大切さも述べていた。 本研究者自身の実践からは「地唄舞」を通して舞のなかの登場人物になりきることが、自分とは異なった人生を生きることにつながると思われる。保育においても音楽を通して歌の登場人物になったり、動物あるいは植物、自然現象等を演じる事は、子どもが自分の周囲にいる人やものを理解する事や自己の思いを他者に伝えるための方法を学ぶ事になると思われた。
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