研究概要 |
交流誘導電場により皮下に投与された局所麻酔薬の拡散が促通され、伝達麻酔の効果発現に寄与するかを調べることを目的とした研究を行い、動物(ラット)およびヒトで予備実験を施行した。 ラット後趾刺激による大腿2等筋に筋電図活動が観察され、特に後期の成分は侵害刺激に応答するc-fiber reflexと呼ばれる。本研究ではこのc-fiber reflexに注目し、同側の大腿部の大腿神経近傍にリドカイン0.3ml投与したときのc-fiber reflex並びに大腿2等筋の筋電図活動の消失を伝達麻酔の奏効と定義し、通常拡散、電場を与えた時の諸条件を変化させた際で、伝達麻酔効果を検索した。1V,5V,10V/10kHzの交流電界では、電圧強度依存性に効果発現時間の短縮が認められ、500,1K,10KHz/10Vでは周波数依存性に効果発現時間短縮が認められた。これにより、誘導電場を与えることにより、伝達麻酔の効果発現時間の短縮が認められることが本研究より明らかになった。これを基にヒトの前腕正中神経における伝達麻酔の効果についても検討を試みた。経皮的に交流通電を行ったところ、基礎実験と同様に効果発現時間の短縮が図られる例が数例認められたが、局所麻酔薬の投与部位によって、おそらく適正な位置より遠いところに薬剤が投与された場合、誘導電場によっても薬剤が拡散できないことがあることが明らかとなり、今後適正な位置からどの程度遠方か薬剤の到達が可能であるかについて詳しく検討をする必要があることが明らかとなった。
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