研究概要 |
マウス頭蓋冠由来のMC3T3-E1細胞,ラット由来のROB細胞ならびにヒト骨肉腫由来株化細胞MG-63細胞を培養骨芽細胞として研究に用いた.これらの細胞を培養し,ノーザンブロット法を用い細胞接着因子のmRNA発現を検討した.いずれの細胞においてもE-カドヘリンならびにα5 integrinの発現が見られた.カドヘリンの細胞内裏打ちタンパク質であるβ-cateninの機能を調べるため,Tcf/LEF結合領域を用いたレポーター(pTOP-FLASH)をMC3T3-E1細胞にトランスフェクトした.GSK-3によりリン酸化される部位を欠失させた活性型β-cateninを同時に導入すると,ルシフェラーゼ活性は増大したが,Wnt-3aはMC3T3-E1細胞においては変化しなかった.この細胞ではWnt3aに対する反応性を欠失していると考えられた.他方,活性化していないβ-cateninやnon-canonical WntであるWnt-5aによっては,pTOP-FLASHのLuc活性は増加しなかった.これらの結果から,骨芽細胞においても,Wntのcanonical経路が存在することがわかった.University of MichiganのDr.Turnerらのグループが開発したU6プロモーターベクターを用い,α5 integrinなどのインテグリン分子群タンパク質の一部のmRNA配列の合成ヌクレオチドを挿入させたRNAi発現コンストラクトを作製した.このプラスミドをMC3T3-E1細胞にトランスフェクトさせノックダウンを行い,機能解析を行ったところ,アルカリフォスファターゼ活性の低下ならびにヒトId1遺伝子のBMP-2応答領域レポーターに対する反応性が低下し,骨芽細胞分化が抑制されることが明らかとなった.
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