研究実績の概要 |
本研究は,生命科学で日々生産される様々な計測・観察データを,生物種,実験観察の方法論や視点,コントロール値の違いなどの壁を 超えて,普遍的に取り扱うための相互利用技術の創出を目指している。H27年度は視点(コンテキスト)に応じた科学データの概念の構造をいかに表形式に落とし込むかを検討し、その基本ソフトウェアを試作した。 H28年度は、多様な生命計測データの対応の ためのデータ基盤拡張を試みた。しかし、当初の 想定に反し、H27年度開発のテストアプリケーションの不具合、関連して、計測データを柔軟に構築するためのデータの持たせ方が想定より複雑であることが判明した。よって、アプリ修正及び、複雑化問題を解決するアルゴリズム考案を行った上で再度データ基盤拡張アプリケーション設計を行う必要が生じた。そのため、予算の繰越申請を行うとともに、複雑化問題のアルゴリズム検討を行った。 この複雑化の問題の検討において、高度に構造化されたデータ記述において、視点依存のクラス構造を定義するプロセスよりも、複雑なクラス構造に準じたインスタンスを大規模に作成する煩雑さが大きな障壁となっていることが判明した。しかも,インスタンス作成時に、クラス構造側のエラーや、洗練化を行わねばならない場面も多く見られた。従って、この複雑化問題の解決のためには、クラスレベルの修正と洗練化と,インスタンス作成を行き来しながら、大規模データを作成できるような支援ツールが必須であると結論した。
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