研究課題
目的:分子機能情報の映像化およびその定量席解析に優れるPETの特徴を活かして、心血管疾患の活動性を映像化し、その重症度を含む病態把握や治療効果判定に利用することで、同疾患の治療戦略に応用することを目指す。方法:(1) 動脈硬化マウスモデルや動脈硬化自然発症家兎を用いて、種々の放射性薬剤の集積度をインビボおよびインビトロで検討し、病理組織所見と対比すると共に、集積を変化される種々の要因について検討を進めた。 (2)臨床例での動脈硬化例として、心筋血流予備能(CFR)の検討を進めた。結果:(1) 家兎を用いた動脈硬化モデルでは、動脈硬化病変へのFDGの集積は病理組織で得られた動脈硬化病変のmacrophageの活動性とよく相関した。また動脈硬化への集積は、低酸素やアポトーシスに起因することを同じ動物モデルで示すことができた。(2)臨床例では、種々の微小循環障害を有する症例での15O標識水PETで計測されたCFRと、冠動脈狭窄前後で計測した圧格差(FFR)と対比した。両者は概ね相関はあるものの、微小循環障害を伴う例では、FFRは維持されCFRの低下するような両者の乖離を示すことも証明できた。結論: 不安定な動脈硬化病変を同定する手段としてPETが利用されているが、この研究ではPET薬剤の動脈硬化病巣への集積の機序や種々の薬剤による集積の修飾を適切な動物モデルで証明することができた。また臨床例ではPETを用いたCFRの計測法の意義について検討することができた。今後動脈硬化の治療が進む中で、PETによる計測法の簡便化や定量法の高精度化を模索することで、治療戦略に役立つ画像診断計測法が広がることを期待したい。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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10.1016/j.jjcc.2017.03.002