研究課題/領域番号 |
15K11143
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 康夫 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (30241342)
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研究分担者 |
清水 孝一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (30125322)
加藤 祐次 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (50261582)
山口 泰彦 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90200617)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 近赤外線 / 波長 / 支台歯形態 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,まず最初に既存設備などを活用して,計測に使用する近赤外線レーザーの波長の検討を行った. 具体的には,予備実験として,Coherent社のチタン・サファイヤ・レーザーと浜松ホトニクス社製のCMOSセンサーを使用して,近赤外線の波長について検討した.人工歯に,軟組織を想定して生ハムを0~2枚巻きつけ,波長695nm, 800nm, 940nmの3種類について透視像を撮影した.その結果,何の波長でも解析可能と思われる画像が取得できることが判明したが,800nmのものが比較的良好な結果を示し,また,695nmについては血液が存在するとそれによる吸収が大きくなることが知られているので,本実験の際はこれらを考慮して波長を選ぶことにした. 次に,モデル作成については,実際の臨床に即したモデルについては,人工歯を切削して,ナイフエッジ,シャンファー,ヘビーシャンファー,ラウンデッドショルダーの4種類について,大臼歯を対象に作製した.一方のCADモデルと人工歯のモデルの形状計測(数値モデル化)について,CADモデル用の基本形状の設計は検討したが,既存設備であるスキャニングソフトを含むCAD/CAMシステムのソフトウェアの更新時期と重なって作業が中断したため,実施が年度を越えて持ち越しとなった. 一方,先の近赤外線波長の検討を初めとした予備実験などから検討を重ね,年度後半に入って当初想定よりもより高性能(高分解能)で低価格の赤外線用カメラ等の機材を導入できたが,年度内はテスト使用にとどまり,本格的な稼働は次年度からとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
限られた予算の範囲内で無理なく購入できて,かつ,想定している範囲で必要十分な分解能が得られそうな機材が年度の後半に入手可能(発売)になると思われたため,設備備品の購入時期を少しずらして待っていたこと,また,利用を予定していた既存設備のCAD/CAMシステムが急遽,ソフトウェアの更新作業が必要となり利用できない時期が数ヶ月生じたこと,などから当初の想定よりもやや遅れ気味の状況である.
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今後の研究の推進方策 |
もっとも主となる,近赤外線光を用いた画像計測については,当初予定していなかった回転ステージを導入して,半自動で大量の画像が取得できる環境を整える予定で,環境が整えば大幅に効率を上げて作業に入れると考えている. 模型の計測や形状設計を行うCAD/CAMシステムは,平成28年度の早い時期に保守が終わって利用可能になる予定で,稼働可能になり次第作業を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた「人件費・謝金」と「その他」の欄に計上していた経費の使用が無く,逆に,実験の作業効率を上げるために,当初予定には無かった「回転ステージ」と追加の「レンズ」,及びそれらを制御するソフトウェアの購入を決めたが,年度末近くであったため全ての購入を完了することができず,次年度使用額が生じる形となった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額として計上された金額は,上記の「回転ステージ」,追加の「レンズ」,及びこれらを制御する追加のソフトウェアの購入に充てる.それ以外の翌年度分として請求した助成金とその使用計画については当初予定通りで,機材が入手でき次第,速やかに実験を開始する予定である.
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