本研究目的は、在宅高齢者の飲酒問題に対する効果的な介入プログラム開発である。退職等ライフイベントがきっかけで飲酒が中心となった事例では、受診や社会サービスを拒否し、時には暴言暴力もあり、支援者自身も疲弊し対応困難な事例が多い。自助グループや行動変容を促す治療の有効性の報告はあるが、高齢者に適しているかは検討を要する。本研究は保健医療福祉従事者の在宅高齢者の飲酒問題事例に対する支援の困難の実態と構造および支援活動の過程を明らかにすることを目的とし地域で生活する高齢者に適した効果的な介入方法を開発することである。平成27年度には、高齢者の飲酒問題に関わっている支援者の半構造化面接を実施し、困難の類型化を実施した。平成28年度は、平成27年度の研究結果から支援者の困難の類型化をもとに、地域包括支援センター専門職対象の質問紙案を作成したが、全国調査には至っていない。理由は、質問紙案をもとに、複数の地域包括支援センター専門職、当事者、研究協力者と会議を重ねたが、各々立場の異なる研究協力者との会議では、質問紙作成過程において意見の食い違いや支援者の対応の是非等があり、時間を要した。さらに、アルコール健康障害対策基本法が成立し、行政においても問題飲酒に対応すべく状況が変化してきたため、質問紙の内容の追加修正も行い、現在は、質問紙は最終段階となった。一方で、全国質問紙調査の発送準備を行っており、速やかに全国調査を行う予定である。
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