本研究は、近代ドイツにおける精神的モニュメント(祝典劇)及び物質的モニュメント(記念碑)を有機的に関連させながら並行して研究するものである。このうち、祝典劇研究を先行させる予定であったが、実際に研究を開始すると、中世より開始されるドイツ祝典劇の整理・分析には当初予想したよりも多くの作品を処理しなければならないことが判明した。そのため、祝典劇研究に関して17年度は資料収集期間と定め、相応の資料をこの年度で用意することができたと考えている。ただ、原典については、一部入手できていないものも存在するため、これは18年度に行う予定のドイツ出張の際に調達したい。一方、記念碑研究に関しては、実際に研究・分析の段階に入っており、17年度は、ドイツ宮廷記念碑からドイツ近代国民記念碑への過渡的モニュメントであるベルリンの「フリードリヒ大王記念像」、ドイツ近代国民記念碑の嚆矢と目されるベルリンの「クロイツベルク記念碑」及び、国民記念碑の象徴とされるデトモルトの「ヘルマン記念像」を採り上げ、それらの分析からドイツ近代国民記念碑の諸特徴を抽出することができた。18年度はこの結果を踏まえ、更に「ニーダーヴァルト記念碑」、「キュフホイザー記念碑」、「諸国民戦争記念碑」などの分析に取り組む予定である。また、祝典劇研究に関しても、人文主義劇(ツェルティス、ロッヒャー、ロイヒリン、フッテン等)まで遡り、ドイツ近代祝典劇までの変遷を辿りたい。
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