研究課題
新型コロナウイルス感染症による影響のため令和3年度に執行できなかった陽明文庫所蔵『雑事日記』の継続撮影を進めるとともに、一般文書目録「公事・儀式」等の原本調査を引き続き行った。また、陽明文庫所蔵『僧綱補任』下巻の修理を令和4年7月までに完了させ、修理後の状態で高精細デジタル撮影による研究資源化を行うとともに、この史料の研究を行った。原本調査・デジタル撮影・史料修理をひとまず終えた後には研究の取りまとめを行い、令和5年3月に尾上陽介編『禁裏・公家文庫研究』第9輯(思文閣出版、全450頁)を刊行した。いずれも摂関家に伝来した史料を中心に用いて伝統的公家文化や史料そのものを研究した成果である。具体的な内容は、①島谷弘幸「近衞家伝来の『和漢朗詠集』の古筆」(宮廷貴族社会で愛好された『和漢朗詠集』の近衞家伝来諸本の古筆研究からの分析)、②惠美千鶴子「平清盛・頼盛両筆「紺紙金字経」および「厳島切」の整理と伝来」(厳島神社所蔵「紺紙金字経」とその断簡の研究)、③藤井讓治「近衛前久花押の変遷」(戦国期の近衞家当主前久の花押の変遷状況とその背景の研究)、④尾上陽介「陽明文庫所蔵『僧綱補任』について」(上記『僧綱補任』下巻の研究と紹介)、⑤藤井・遠藤珠紀「近衞前久書状の紹介(「近衞家記録十五函文書」・「東求院筆物」所収分)」(前久の重要書状原本の研究と翻刻)、⑥遠藤「寛文七年『御ゆとのの上の日々記』の紹介」(新発見の陽明文庫所蔵寛文7年正月『御湯殿上日記』原本の研究と翻刻)、⑦尾上「『基凞公記』の原本について」(江戸中期の近衞家当主基凞の日記原本の研究と目録の整理)であり、さらに⑨遠藤・尾上・藤井「陽明文庫所蔵一般文書目録「消息」高精細デジタル撮影目録および索引」(近世書状類の高精細デジタル撮影目録と人名索引で、画像は陽明文庫デジタルアーカイブなどから公開している)を収載した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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東京大学史料編纂所研究紀要
巻: 33 ページ: 153-163
巻: 33 ページ: 95-102
早稲田大学図書館紀要
巻: 70 ページ: 112-132
古文書研究
巻: 93 ページ: 119-122
書物学
巻: 20 ページ: 29-35
http://ymbk.sakura.ne.jp/ymbkda/index.htm