35核種のp核のうち、27核種が超新星新生爆発の光核反応で生成されたことを示す証拠(スケーリング則)を発見していた。本科研費において、まず超新星爆発の質量や爆発エネルギー等の物理環境に依存せず、スケーリング則が普遍的である「ガンマ過程のユニバーサリティー」を提唱し、その原理を理論的に解明した。さらに、その詳細を議論すると同時に、La-138を含む残りの8核種の天体起源について核物理、天体観測、隕石研究等から議論すると同時に、大質量星のweak s-processの証拠を発見した。La-138は陽子数と中性子数が両方とも奇数であり、ベータ崩壊では生成されないという特徴を有する。また、同位体比は0.0902%と小さい。La-138のアイソマーを含む核構造はLa-138のニュートリノ起源説に影響を与える。ガンマ線核分光でLa-138の核構造を研究した。一方で、La-138の基底状態は約10^<11>年の長寿命で崩壊するという特色を有する。我々が発見したスケーリング則を組み合わせることで、太陽系生成以前のニュートリノ風駆動型超新星爆発が発生した核宇宙時計になることを提案した。近年プレソーラーグレインと呼ばれる太陽系形成以前の元素合成を記録した10μm以下の微粒子が発見されている。核宇宙時計は、プレソーラーグラインに適用することで年代計測を行える。プレソーラーグレインにおける同位体測定の精度と得られる年来の精度の関係を明らかにした。殻模型計算、実験研究の結果アイソマーは存在せず、我々の提唱した核宇宙時計は機能するという結論を得た。
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