研究課題
本研究は、特定の地域における出来事や事象を、文化や社会、生態といった特定のフィルターをとおさず、領域横断的な地域研究を行う可能性を探ることを目的としている。そのため本研究では、アクター・ネットワーク論などを地域研究に援用し、(1).宗教における物質性(ヒンドゥー教・仏教・イスラーム)、(2).農業における知識(溜池潅漑農業、河川潅漑農業、棚田農業)、(3).地域研究におけるアクター・ネットワーク論の可能性(理論的・方法論的検討)を調査・検討してきた。平成19年度は、第1に、アクター・ネットワーク論とその関連分野の理論的、方法論的検討を行うため、人とモノの問題系を整理し、アフォーダンス論、パースの記号論、A.ジェルの芸術人類学論などを通して記号と物質性の循環的な媒介過程を議論した。第2には、このような検討と並行してフィールドワークを行い、サウジアラビアのカーバ神殿調査(小杉)、インドとスペインの環境デザイン調査(若生)、ブータンの棚田調査(藤倉)、バングラデシュの河川潅漑調査(安藤)を行った。なお、現在、これらの成果をまとめているところであるが、現時点での方法論的問題は、人とモノのネットワークを考える際に、言葉(シンボル)による圧倒的な力の影で見えにくくなっている物質性と指標性をどのように調査研究に取り込むかという点である。この点が、次年度の中心的なテーマとなる。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 図書 (2件)
『紅萌』 12
ページ: 9-12
American Ethnologist 34(3)
ページ: 558-574