研究分担者 |
平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
桂巻 正 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50253993)
佐々木 寿誉 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50336393)
梶 晋輔 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90404623)
柴田 稔人 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80404622)
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研究概要 |
本年度はヒト肝細胞の安全な採取と手技を確立するために、肝切除周術期における肝機能評価と肝細胞の採集率に影響する肝線維化の安全な評価法の検討を行い発表した。肝切除の周術期では,アポタンパク質が肝機能の回復指標として有用である事を発表した(Kawamoto M, Mizuguchi T, et al. Liver Int. 2006;26:203-10)。また、術前のアポタンパク質は栄養状態を反影し、術後の合併症発生予測因子として重要である事を発表した(Katsuramaki T, Mizuguchi T, et al. World J Surg. 2006;30:1886-91)。これにより、肝切除前のアポタンパク質は肝細胞採取の適応指標としての有用性が示唆され、肝細胞の遺伝子発現レベルと術前アポタンパク質レベルを比較検討中である。また、肝線維化は肝機能と相関し、体外式のエラストメーターがデジタル解析した病理学的線維化率と相関する事を示した(Kawamoto M, Mizuguchi T, et al. World J Gastroenterol. 2006;12:4325-30)。この事も術前に肝細胞採取の適応を決める因子として有用である可能性があり、解析検討中である。これらから採取した肝細胞をDMSO含有の凍結保存液で凍結させている。凍結時の溶媒温度を測定すると氷点の低下を認めるものの凍結時の過冷却状態に有意な差を認めなかった。実際の肝細胞凍結保存時の保存液中のAST/ALTを測定したところ、市販のセルバンカーが最も有意にAST/ALTが低く、細胞障害が低率であったと考えられた。したがって、DMSO含有の凍結保存液は現在の基本組成からは市販の保存液以上の結果が期待できない事から、ガラス化法の変法に方法を変える事を検討している。ガラス化法は従来、家禽類の人工授精などに使用されているが、凍結可能容積が小さく現在の課題はこれを大容量に再開発可能であるかにある。今後はスケールアップした大容量ガラス化凍結法の確立を行って、マウスへの移植を開始する事を目標とする。
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