ゴーシェ病の中枢神経症状に対する病態解明と治療法の開発を目的として新たなゴーシェ病のモデルマウスの開発を行う。方法は、1)日本人に多いL444P変異、F213I変異を導入したマウスの作成、2)L444P変異のホモマウスは生直後に死亡するが、コンディショナルノックアウトを組み合わせることにより、このマウスの生直後の死亡を防ぐ。即ち重症ではあるがある程度の期間生存できるマウスを作成する。3)得られた変異マウスについて症状、酵素活性、脂質の蓄積などについて評価する。4)神経症状を徐々に発症し、半年程度で死亡するようなマウスが得られた場合、治療を試み、その有効性を明らかにする。 18年度から19年度にかけてマウスグルコセレプロシダーゼのゲノムに変異を導入したクーゲティングベクターを作成した。クーゲティングベクターの作成にはBAC recombineering systemを用いた。まず、マウスグルコセレプロシダーゼ遺伝子を含むBACを基にしてそのイントロン領域へ両端をCre配列で挟んだネオマイシン耐性遺伝子を挿入した。次に、このBACに一塩基置換となる変異(3018T→A)を導入した。この変異は、ヒトグルコセレプロシダーゼのF213I変異に相当する。このBACのグルコセレプロシダーゼ遺伝子を含む領域をプラスミドにrecombineeringを用いて大腸菌内でサブクローニングすることでクーゲッティングベクターを作成した。20年度はこのベクターの配列の確認を行った。また、マウスES細胞へ導入するための準備として細胞培養の準備を行った。
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