研究課題/領域番号 |
18H02773
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
吉永 恵一郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, グループリーダー(定常) (30435961)
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研究分担者 |
加藤 千恵次 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10292012)
永津 弘太郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 研究統括(定常) (30531529)
東 達也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 部長(定常) (50324629)
西井 龍一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主幹研究員(定常) (60463212)
浅田 祐士郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70202588)
山下 篤 宮崎大学, 医学部, 准教授 (90372797)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アイソトープ治療 / 動脈硬化 / 不安定プラーク / 虚血性脳疾患 / 核医学診断 |
研究実績の概要 |
本研究開発は、虚血性脳血管障害の発症原因の主因となる頚動脈の不安定プラークを近年悪性腫瘍の治療へ応用が始まったα線標識薬剤アスタチン-211により不安定プラークの制御を試み、本邦初のアイソトープ治療に基づく虚血性脳血管障害の発症阻止への展開を目指すものである。当該年度においては、不安定プラークの治療適応例検出や治療候補薬剤の不安定プラークへの集積性を評価する事を目的としてPETイメージング法および病理オートラジオグラフィー法を行い、以下の研究実績を得た。 治療候補標識薬剤として、動脈硬化病変アポトーシス発現部位への選択的薬剤を候補とした。アポトーシス発現細胞に結合するAnnexin-A5 (ANXV5)は画像診断法として有用性の報告が有ったが血中クリアランスが遅く治療用薬剤としては不適格であった。そこで、炎症細胞浸潤を伴った炎症病変に発現するトランスローケータプロテイン(TSPO)に特異的に結合する性質を持ったFEDACをフッ素-18 (18F)により標識し合成を行った。頚動脈の動脈硬化症モデルウサギに対し、動物用CTで動脈硬化病変を形態的に評価し、PET画像の解析の補助とした。ポジトロン断層撮像を用い血管壁プラークへの薬剤集積を検討した。18F-FEDACでは全例で動脈硬化病変の血管壁への薬剤集積度が対照とした対側の未処置病変よりも高値であることが確認された。よって18F-FEDACは集積特異性が高いものと考えられた。また周囲の正常組織への集積はほぼ認められなかった。 本検討により、候補薬剤が動脈硬化病変に特異的に集積する事が示唆され、次年度の方針であるα線標識薬剤を用いたアイソトープ治療に基づく脳血管障害の予防治療へ展開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画における、①画像診断用薬剤の開発、②治療用薬剤の開発、③治療候補放射性薬剤が頚動脈の不安定プラーク治療のPOCに関しては、研究実績の概要で述べた通り、検討の余地は残るもののおおむね完了しており、次年度にまたがり施行していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.α線標識薬剤の開発及び合成(昨年度より継続) 2.不安定プラークイメージングの開発(昨年度より継続) 3.動脈硬化モデル動物を用い、α線標識薬剤のプラーク集積性や集積機序の検討結果をもとにし、不安定プラークの安定化を目指した治療のための基礎研究を行う。 1)治療効果評価のためのイメージング法の開発。雄性日本白色ウサギで右頸動脈の動脈硬化モデル動物を形成しフッ素18F-FEDACによりイメージングを行い、治療効果評価の画像的指標の開発を行う。2)病理組織および免疫染色による炎症指標により開発した画像マーカーの検証を行う。 4.動脈硬化モデルの治療効果評価イメージング開発で確立した日本白色ウサギの動脈硬化モデルを用い①α線標識薬剤群②HMG-CoA阻害薬(スタチン)混餌群③無治療群・通常食群に分け急性期の治療効果を画像、病理組織検討により行う。
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