研究課題
1、申請者が考案した歯周組織再生療法の検討のため、本年度の研究の目的は、顎骨再建のためのBMP担体として、(1)ランダムトンネル型スキャホールドの組織誘導能の検討、(2)温度官能性スキャホールドの検討について研究を行った。2、研究の方法と結果(1)ビーグル犬5頭の上下顎小臼歯(33歯)の分岐部に高さ4mmでLinde分類III級の骨欠損モデルを作成して、口径300μmのトンネルパイプ型βTGPを移植した。なお比較として顆粒状βTGPを移植して、移植を行わなかった対照群として計3群を設定した。移植後8週での治癒状態を病理組織学的に検索した。トンネルパイプ型βTGPを移植した場合、上皮の侵入が少なく、骨形成も有意に多かった。さらに顆粒状βTGPの骨形成は、移植材の周囲に限局しているのに対し、トンネルパイプ型の場合は移植材内部にも骨が形成し、移植材の外表面と内表面共に接しているのが観察された。この結果から、ランダムトンネル構造を有するβTCPは、根分岐部欠損(Lindheの分類 III度)で、術後初期に血管と硬組織形成を誘導する特徴を有することが示された。(2)温度官能性スキャホールドにBMP-2を配合して、ラットの背部皮下に移植を行った。観察期間を4週として、摘出を行ったところ、体温ではゾル状を維持しており、病理観察で硬組織の形成が確認できた。このことより、温度官能性スキャホールドは、BMP-2と移植を行った場合、体温でゾル状態を維持してその形態に硬組織形成を誘導する担体として有効であることが示された。
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Journal of periodontology 80(6)
ページ: 961-968