本研究は、古代の人々により造営・建立さたれ"記念碑"が実際に存在する"場"や、"記念碑"をめぐる伝承が視覚化されけた"場"をモニュメント空間ととらえ、その空間の形成・再生産過程を歴史的に解明することを目的とする。 したがって、初年度では、 (1)古代文献にみえる"記念碑"史料を収集した。 (2)主に『播磨国風土記』にみえる地名説話や祖先伝承に登場する墳墓を中心とした史蹟を素材として、そのモニュメント空間の形成過程を、氏族による墳墓祭祀と系譜継承儀礼の側面から検討した。(3)モニュメント空間の在形成過程を検討するため、近世における古代史蹟の伝承形態のありように関する研究会「史跡・モニュメント研究の最前線〜近世に生きる"古代"〜」を、平成19年12月16日開催し、研究代表者を含め計3名が研究報告を行った。 (4)ミヤケのモニュメント性に着目し、針間国造・但馬国造に関する伝承研究を行った。その際には、県政資料館において粟鹿神社文書を調査し(平成19年8月23日)、播磨と但馬の境界領域に位置する「生野」地域のフィールドワークを行った(平成20年2月23日)。 これらの研究により、モニュメント空間を検討するための基礎的な史料の収集が終了し、モニュメント空間の形成と再形成についての基本的な文分析視角を得ることができた。 なお、これらの研究成果については、但馬史研究会において「『播磨国風土記』から見る古代の但馬むと題して報告を行い、『但馬史研究』誌上に「<外部>からみた但馬・<外部>にある但馬〜古代の播但交通と飾磨・越部ミヤケ〜」として掲載予定である。
|