研究課題
担子菌のゲノム上に存在する生合成遺伝子クラスター(BGC)を用いた物質生産において、酵素触媒は時々極めて興味深い変換反応を触媒することが知られる。今回抗腫瘍性物質melleolideの生合成において、鍵中間体の二重結合の異性化する特異な酸化酵素を見つけたが、その詳細を解明すべく検討した。その結果、通常半反応しか触媒しない酸化酵素が逆反応である還元も触媒する際、他の酸化還元酵素と共同で二重結合を異性化することを見出した。先に発見した2種の酸化還元酵素による立体化学の反転とともに、担子菌のBGC上に存在する類似の酸化還元酵素の異常反応で、天然物に構造多様性を付与する戦略が採用されていることを明らかにした。またゲノム編集を用いたCas9プラスミドのマーカーリサイクリングとHot spot-ノックイン法を組み合わせた手法により、担子菌由来代謝産物の原料であるsterpurene, hirsutene生産株のゲノム上に存在するBGCをモデルホストである麹菌に導入し、異種発現を検討した。水酸化酵素チトクロームP450など修飾遺伝子の導入により、重要中間体を得ることに成功した。BGCの最終産物が不明なため、今後追加導入により、活性物質の生産が期待される。これに加え、本プロジェクトで開発されたHot spot-ノックイン法により、 宿主特異的毒素ACR-toxin、マイコトキシン 黄変米中毒原因毒素cyclochlorotine、特異な5環性構造を有するセスタテルペンaspterpenacidなどの生産に成功するとともに、ポリケタイド系天然物の鎖状生成物の立体制御における論理的予測則の提案などへの適用も行った。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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