研究課題/領域番号 |
19K10223
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
昆 はるか 新潟大学, 医歯学総合研究科, 非常勤研究員 (40447636)
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研究分担者 |
堀 一浩 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70379080)
林 豊彦 新潟大学, 自然科学系, フェロー (40126446)
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 訪問歯科診療 / 姿勢 / 身体的負担 |
研究実績の概要 |
目的:訪問歯科診療時には,リクライニングのない車椅子を用いることが多いため,患者は姿勢の保持が難しく,身体的負担感のあることが知られている.一方,術者は長時間不自然な姿勢をとるため,身体的負担は一般診療と比較して大きい.これらから,訪問歯科診療では,患者と術者の負担を軽減するための方策が必要とされている.本研究では,訪問歯科診療を想定し車椅子で歯科診療を行うと,患者と術者の姿勢はどのような挙動を示すのか調べた.最終的に,患者と術者,両者に負担が少ない診療条件を明らかにすることを目的とした.方法:術者役被験者は男性歯科医師13名,患者役被験者は若年健常者13名とした.通常の歯科診療を想定し,歯科治療椅子で術者が座位で患者が仰臥位の診療条件を設けた.一方,訪問歯科診療を想定した,立位の術者が車椅子に座った患者を診療する条件では,術者が患者に対して前方もしくは後方に位置する条件を設けるとともに,患者に安頭台を用いる場合と用いない条件を設けた.患者と術者の頭部や体幹に標点を貼付し,三次元動作解析装置(VICON)を用いて記録し,患者と術者の姿勢を比較した.結果と考察:安頭台が無く,患者に対して術者が後方から治療する場合,患者の頭部の後屈角度が大きかった.頭部後屈が長く続くと,頭部を支持するための頭頸部の筋が常に活動し続ける必要があり,身体的負担が大きいことが考えられる.これらから,治療時の頭部姿勢による患者の負担は,術者が患者の前方から治療し,安頭台を用いることで軽減できる可能性のあることが示唆された.一方,術者は座位診療と比較して,立位診療では,体幹前屈角度が大きく,右側上腕挙上量が大きかった.したがって,訪問歯科診療を想定した車椅子上の患者を立位で診療する場合,術者の身体的負担が大きいことが示唆された.
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