研究概要 |
「アジアにおけるリンガフランカとして、日本語母語話者の英語音声面における中心特性(コミュニケーションの阻害要因に関わる特性)の確立」を研究目的として、主に次の3つのことを行った。 (i)日本人理系院生の通じなさに関わる英語音声特性について発表したTsuzuki&Nakamura (2007)を論文にまとめた(ジョン・ベンジャミンから今年度中に出版される国際英語に関する本World Englishes: Problems-Properties-Prospects.に掲載される予定)。 (ii)Tsuzuki&Nakamura (2007)の実験方法・研究結果を精査した上で、あらたに日本人理系研究者の英語音声を録音し、英語母語話者による聞き取り実験を行い、音声解析ソフトなどによる分析を行った。分析の結果、(1)流音などの子音の誤発音、および破裂音などの子音の発音の弱さ、(2)母音の長さの変更、(3)強勢アクセントの間違い、(4)トーン・ユニットにおける区切り方の間違いと中核強勢の間違いなどが、通じなさに関わる音声特徴として考えられることが明らかとなった。これらの研究成果を第14回国際英語学会(2008/12/3香港市立大学)で発表した(Nishio&Tsuzuki 2008)。 (iii)(ii)の研究成果を英語音声学習・教育にどのように活かせるかを考察した。まずは、音声を提供してくれた理系院生に、個々の音声解析結果を加えた分析結果と、阻害要因となる特性を修正する学習方法を提示した。さらに検討を加えたものをもとに、都築が信州大学にて研究者および院生を対象に「通じなさに関わる日本人英語の音声特徴-プリゼンに際して」と題し、講演を行った(信州大学全学教育機構からの依頼による,2009/1/28)。
|