研究概要 |
「アジアにおけるリンガフランカとして、日本語母語話者の英語音声面における中心特性(コミュニケーションの阻害要因に関わる特性)の確立」を研究目的として、主に次の2つのことを行った。 1. 日本人英語に慣れていない英語母語話者(ミシガン大学学生23名)による日本人理系研究者英語音声の聴き取り実験の結果を分析し,発表した(2010 PAAL(Pan Pacific Applied Linguistic)International Conference at Hanyang Women's University, Korea 2010/8/10)。 (1)流音などの子音の誤発音、および破裂音・摩擦音などの子音の発音の弱さ、(2)母音の長さの変更、(3)強勢アクセントの間違い、(4)トーン・ユニットにおける区切り方の間違いが、通じなさに関わる音声特徴として確認された。また音声的要因の他に、倒置文などの文の複雑度/有標性、主語の長さ、談話マーカーの可否などが、通じなさに関わる要因であることが確認された。 2. 通じなさに関わる日本人英語の音声特性として,分節音特性(r,1の誤発音,破裂音・摩擦音の弱さ母音の長さなど)と超分節音特性(強勢の間違い、強勢のなさ、トーン・ユニット以外での区切り)がある。日本人学生2グループ(15名)に対し、それぞれの特性に特化した速習プログラムを課し、その効果を測った。分節音特性の中では、母音の長さが、超音節特性の中では、トーン・ユニットが最も矯正しやすい項目であることがわかった。 この実験結果を、The 16^<th> Conference of the International Association for World Englishes, (IAWE)(サイモンフレーザー大・バンクーバー2010/7/27)で発表した。
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