研究概要 |
本研究では一般人口における未破裂脳動脈瘤の頻度を調査が必要である.まず最初に当病院脳神経外科外来においてどのような症状において未破裂脳動脈瘤の診断が可能なMRI,MRA検査を施行しているのかを平成21年度に引き続き調査した.受診のきっかけとなった症候は頭痛(クモ膜下出血とは関連のない)・めまい感・浮動感の非特異的症状が66%を占めた.MRI,MRAを施行した症例の中で7%に未破裂脳動脈瘤を認めた.またMRI,MRA施行症例の中には過去,当病院および他の施設においてMRI,MRAを施行された症例があり,現在,データを解析中である.CTの画像診断は多数の患者が希望し,MRは56%,CTは19%の患者に施行した.これらの症例の中で実際に脳神経外科治療を行ったのは3%にすぎなかった. 次にクモ膜下出血症例をレトロスペクティブに発症前のMRI,MRA施行の有無について検討した.150症例中,8例で発症前MRI,MRA画像解析が可能であった.8例中7例が脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血と確認された.7例中4例が発症前のMRI,MRAでは動脈瘤診断がなされていなかったが,レトロスペクティブに画像を検討すると,ごく小さな動脈瘤の存在が認められた.現時点では確実な新生動脈瘤は認めていない.今後さらにデータを解析し,新生脳動脈瘤の頻度について検討を進めていく. さらに本年度は日本における脳神経外科外来診療の特性についてもOECDヘルスレポートを元に調査した.未破裂脳動脈瘤が非侵襲的に診断可能なMRI機器は日本での設置数は他のOECD先進諸国に比較して極めて多いことが明らかとなった.こうしたMRI診断の多さが未破裂脳動脈瘤の治療機会の多さに関係していると考えられた.
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