今後、原子時計の小型化&安価化により、チップスケール原子時計(Chip Scale Atomic Clock)がさまざまな電子機器に内蔵されることが予想される。既存の電子機器間の通信プロトコルや分散アルゴリズムの内蔵時計の計時精度は相違・誤差を想定しているが、計時精度はほぼ正確かつ一致することになる。本年度は原子時計による時刻合わせアルゴリズムを設計した。本来、相対的な計時精度は一致しても、絶対的な時刻の一致には明示的なアルゴリズムが必要となるからである。具体的にはNetwork Time Protocolと同様に通信によるものと、GPSによる時刻情報を利用したものである。また、これらはTDoA方式、つまり電波の到着時間差による測位手法に応用できることになる。研究期間中では測位システム自体への導入は間に合わなかったが、原子時計による高精度なTDoA方式を想定した位置検出サービスの実験を行い、それを論文にまとめた。また、原子時計を想定した同期及び相互排除アルゴリズムを開発し、それらを論文としてまとめた。
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