研究概要 |
高齢者や障害者の社会参加や自発的な活動が増加すると予想され,高齢者や障害者が日常的な活動を自由に選択できるようにするための環境整備が求められている.そのような中で,2006年12月に全ての障害者を対象としたバリアフリー新法が施行された.それにより今後,新たに加えられた知的・精神・発達障害者の外出増加が予想され,モビリティ確保に向けた環境整備が重要となるが,これらの障害者に配慮した整備方法に関する情報が少なく確立されていない.そこで本研究では,知的・精神・発達障害者のモビリティを確保するために外出実態から潜在交通需要を把握し,潜在要因について考察することを目的とする.本調査により,各障害者で潜在的な交通需要が見られた.知的障害者では各交通手段において潜在需要が見られた.これらの顕在化には周囲の障害に対する理解や情報提示等のハード面に関する環境整備が必要であると考えられる.精神障害者・発達障害者では特に私的交通の潜在需要が多く,これらの顕在化には歩道等におけるソフト面・ハード面の整備が必要であると考えられる.また,各障害者において経済的な負担による潜在化が見られ,割引制度の統一化や充実化が必要であると考えられる.今後の課題として,当事者へのヒアリング調査において趣旨を理解しやすいような調査手法を検討する必要がある.また,当事者の意見だけでなく利用状況を把握するために,当事者とともに行動し利用時の問題を抽出する必要があると考えられる.
|