平成20年度は、材齢20年まで長期暴露する2体の実大壁試験体(幅7.4m、高さ3.0m)の製作のうち、掘削工事、基礎工事(基礎鉄筋の加工・組立て、基礎コンクリートの打込みを含む)、上部構造の鉄筋の加工・組立て工事が終了した。当初は、毎年成果が上がるように1体ずつ製作することを予定していたが、経費を圧縮するため2体を同時に製作し、試験体の形状・寸法も見直しを行った。また、順調に準備を進め、平成20年度中にコンクリートを打込みと、冬季のコンクリート工事となり、長期暴露用のコンクリートとしては特殊なものとなるため、これらを鑑み、コンクリートの打込みは平成21年度春に行うこととした。 鉄筋工事はすべて研究室所属の学生によって施工を行った。その結果、研究の準備としての位置づけの他、学生の建築施工に関する教育効果が大きく、特に、高専の1、2、5年生で「一般構造」、「建築生産」で学んだ内容を実体験することができたことは非常に意義の大きなものであった。また、授業のカリキュラムでは取り扱っていなかった測量についても行い、実際の施工の手順に合わせて、測量、墨出しなどができるようになった。さらに、施工管理の上で重要な品質管理についても、かぶり厚さの管理方法・手順について学び、不具合の発生メカニズムなども学んだ。 以上、本年度は、研究としての成果以上に、学生に対する教育効果に関する成果について、目覚ましいものがあった。特に施工会社に就職をする学生にとっては、またとない事前研修となり、建築を目指す学生とっては施工(ものづくり)の楽しさを学ぶことができた。
|