研究課題
1)前年度、日本の各種機関が中国で行った調査の報告書類及び関連資料の分析、検討の過程において、「華北」地域の概念が明確でないことを認識するに至り、22年度にはこの問題に関してワークショップ「華北の発見」を開催した。華北地域概念の形成と日本、満洲で日本人が刊行していた雑誌『満蒙』と『満洲日日新聞』を通してみた在留日本人の華北認識と日本国内の新聞にみる華北認識、山西の農村社会・経済状況から考える華北地域概念と山西の位置づけ、華中と位置付けられる淮海省の農村経済状況から見る日本人の華北認識、民間信仰からみる江南と華北の農村社会、華北と西北の地域概念、中独関係からみる華北、山東・満洲観光から見える日本人の中国観・華北観、などの報告が行われた。また、天津社会科学院および山東社会科学院から中国研究者2名の参加を得て、中国における華北研究の一端が明らかにされ、特に華北地域の実体を形成する要素として文化的な概念が重要であることの指摘は、我々の問題認識の不十分な点であった。以上を通して華北認識の形成過程という時間軸と地域概念の内容という空間軸の両面から問題を捉えねばならないことを確認し、今後さらなる研究を続けることとした。2)1910~30年代を中心に中国調査活動の報告書類および関連資料について、国立国会図書館、防衛省防衛研究所図書館、早稲田大学中央図書館、東京大学経済学部図書館および東洋文化研究所などで調査を行った。中国では、中国農業大学図書館、山西省図書館、遼寧省図書館、遼寧省档案館、鞍山市档案館などで資料調査を行い、国内にない原文書を含む資料を見ることができた。
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