研究概要 |
本研究では,近世薩摩焼窯跡の発掘調査を実施することで,薩摩焼研究を再構築することを目的としている。その際には発掘調査とともに事前に窯跡の地下探査を実施することで,窯体の埋没状況を把握し,発掘調査をより効率化・精緻化することも目的としている。 本年度は,次年度の発掘調査に向けて,平成22年3月2日から7日にかけて,日置市美山苗代川窯跡群BO2地点の測量調査および地下探査を実施した。同地点は物原が視認されるものの窯体は地表かうはまったく確認できないため,本地点の地形測量を実施するとともに,埋没している窯体の形状・規模を推測するため,レーダ探査・磁気探査・電気探査を実施した。その結果,全長約30mの単室登窯が地中に埋もれている可能性がきわめて高いことが明らかになった。また物原の厚さも約2mという推定値を得た。 以上の成果と測量調査による周辺地形のデータを重ね合わせることで,埋没窯体の状況,物原の堆積状況について,より詳細な情報を得ることができる。そして窯跡をなるべく破壊せず,また効果的に情報を得るために適合した発掘調査地点を選定することが可能になった。 また今年度の成果により,本窯跡のみのものではなく,近世窯跡の調査に際しての地下探査の有効性を確認することができた。
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