研究課題
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫のイットリウム-90(Y-90)標識抗CD20抗体イブリツモマブ チウキセタンによる放射免疫療法において、治療前後の陽電子断層撮影(PET)・インジウムー111(ln-111)標識抗CD20抗体による腫瘍の性状の評価を行い、治療効果判定、治療効果の予測について検討した。PET薬剤として、2-deoxy-2-[18F]fluoro-D-glucose (FDG)、[18F]fluoromisonidazole (FMISO)を用いた。Y-90抗体療法の前後でFDGおよびFMIS0を用いたPET/CTを施行し腫瘍のSUVを算出して定量的に解析した。In-111抗体イメージングはY-90抗体治療前にSPECT/CTを用いて実施し、腫瘍の集積量を%ID/gとして表した。また比較対象のため外部放射線照射症例においてFDGおよびFMISOを用いてPET/CTを施行した。Y-90抗体療法を受けた症例において、FMISOを投与して経時的に撮像し集積を評価したところ、治療前に比べて治療2週間後は有意に低下し、対象としたろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫において、低酸素状態が存在するとともに、内部放射線照射による再酸素化が起きていると考えられた。外部照射症例においても治療後のFMISO集積の低下が観察され、Y-90抗体による内部照射と同様の再酸素化と思われるプロセスが確認できた。FDGについてはY-90抗体療法によるリンパ腫病変集積の経時的低下も確認した。さらに治療前のFDG集積と治療効果は有意な関連があって、FDG集積が高いものは治療効果が低かった。一方治療前のIn-111抗体の集積は治療効果との有意な関連はなく、治療前のIn-111抗体集積が低くても治療効果を妨げるものではないことがわかった。以上、本療法における腫瘍性状の貴重な知見を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫のイットリウム-90(Y-90)標識抗CD20抗体による放射免疫療法の症例において、FDG-PET、FMISO-PET、In-111-標識抗CD20抗体SPECT/CTを実施し、悪性リンパ腫の生物学的挙動を解明し、その治療に有用な知見を得ている。
Y-90標識抗CD20抗体による放射免疫療法を受けられる症例をさらに蓄積するとともに、この数年注目されている大量化学療法との併用時の画像評価についても検討を進める。
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