本研究では、細胞核における核内染色体テリトリー、遺伝子領域の空間配置の視点からiPS細胞形成のメカニズムを探り、ヒトと霊長類の種間比較によって、ヒトへの進化過程でどのような特異性が見られるかを明らかにすることを目指した。ヒトと大型類人猿3種(チンパンジー、ゴリラ、オランウータン)由来の繊維芽細胞を用いて、iPS細胞形成に関わる4因子Oct3/4、Sox2、Klf4、c-MycとNanogを合わせた5つの遺伝子領域、およびそれらを含む染色体テリトリー領域について、3D-FISH法により3次元核内空間配置の基本的な特性を明らかにした。霊長類iPS細胞における遺伝子配置データは、サンプル細胞数の不足のため、現時点で全貌が明らかにできていないが、十分なサンプル数が得られ次第、解析を進めて考察する。
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