研究概要 |
これまで象牙質含有レジン上にはわずかにセメント質形成が観察され、レジン上に歯周組織再生の可能性があることを見出した。この可能性は、骨誘導を強力に促進するBMP-2と多量の歯根膜細胞が存在すれば、さらに高めることができる。本研究は、象牙質を含有するレジンにBMP-2と培養細胞シートを応用し、レジン上に歯周組織再生の実現を目的として行われた。生体親和性が良好である接着性レジンセメントに象牙質粉末を混合した象牙質含有レジン上へセメント質再生を促進させる方法を採用し、骨様硬組織誘導能をもつBMP-2を塗布し、大量の細胞を供給することにより再生を促進させることを期待して行った。 24年度は、Jcl:Wistar系ラット(3週齢)の大腿骨骨髄を採取し10%FBS,10%抗生物質添加のMEMにて培養を行い細胞シートベースを作製した。その後1日,3日,5日目にベースに追加播種することで多層シートの作製を行った。追加播種を開始してからは、培地をascorbic acid(50μg/ml),10mM β-glycerophosphate 100nM dexamethasonを添加したosteogenic mediumに変更した。培養7日後にスクレーパーにて細胞シートをディッシュより剥離した。象牙質含有レジンを作製し、表面にBMP-2を塗布し細胞シートで被覆しヌードマウス(BALB/cAJcl-nu/nuJcl8週令オス)頭蓋骨面に移植した。5週間後に屠殺し、組織標本を作製・HE染色しレジン及び周囲組織を観察した。レジン周囲に線維の被包が観察された。さらに象牙質および β-TCP含有レジンを作製し表面にBMP-2を塗布し細胞シートで被覆し、ヌードマウスの皮下に移植した。4週間後に屠殺し組織標本を作製・HE染色し、レジン及び周囲組織を観察した。β-TCP含有レジン上には骨様組織が観察された。
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