研究課題
顕微質量分析法は質量分析の手法を組織切片上に二次元展開することによって、組織上に存在する物質の固有の質量とその局在情報を同時に得ることができ、また、生体組織の形態観察時に生体分子を同定し高い分解能で分布測定が可能である。具体的には凍結試料を薄く切片化した生体試料にマトリックスを噴霧して均一な微細結晶をつくり、観察したい部位に正確に微小径のレーザーを照射して微小領域でのイオン化を行い、さらにレーザーを二次元走査しながら各照射点に存在する分子のイオン化を行い、発生イオンを質量分析計で検出する。当大学附属病院を受診した頭頚部扁平上皮癌の患者を対象に選択した症例の凍結材料を作製し顕微質量分析装置を用い、口腔癌の生検・手術検体の組織中に含まれる脂質・代謝物、生体分子のイメージ化と組織の顕微質量分析を行った。同時にそれぞれの症例をHE標本で臨床病理学的に沿った評価をした。その結果は画像診断質量分析によって視覚化される生体分子分布に基づく癌領域を示した。癌と間質領域で特異的なシグナル11個のピークを検出した。m/z 770とm/z 846の信号は、癌と間質領域の上で分布して明瞭な領域を示した。タンデム型質量分を行い、これらの信号を癌領域のm/z 770はホスファチジルコリン(16:0/16:1)と間質領域のm/z 846はホスファチジルコリン(18:1/20:4)と確認した。癌と間質領域は画像診断質量分析によってこれらのホスファチジルコリンを用いて明らかに区別された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Analytical and Bioanalytical Chemistry
巻: in press ページ: in press
in press