同位体分別を引き起こす原因として発見された核の体積効果について、相対論的な分子理論を用いた解析を行った。ウランの同位体分別において、本手法では分別係数の実験値を精度よく再現することがわかり、原子核電荷分布の同位体間のわずかな差異から、化学平衡が左右されることを理論的に解明した。さらに配位子と核の体積効果との関係性を調べた。強い配位子ではウランとの結合距離が短くなることで、同位体間のエネルギー差を大きくすることがわかった。さらに原子スペクトルにおいては、同位体間のエネルギー差は核上の電子密度に線形の関係にあると考えられているが、分子においても同様の傾向が確認された。したがって核の体積効果の分別係数は、全エネルギー差から求める以外にも、核上の電子密度から求める方法も有効であることが示された。
|