研究課題
本研究は、ルールを新しい事例に適用する応用の基礎課程としての再結合般化という現象について実験的検証を行った。再結合般化は、異なる次元軸をまたいで生じる般化であり、「赤い帽子」のように、言葉がいくつかの要素によって構成される一方、要素が独立して使用可能なことを理解しなければならず、言語の初歩的機能獲得のために重要と言われている。複数の刺激の特徴を組み合わせた弁別訓練により、コモンマーモセットを用い、段階的な般化過程を詳細に分析し、新たな学習の可能性を検証した。まず複合刺激を構成する個々の要素を抽出するための訓練を行った。2種の図形と2種の大きさを組み合わせて4刺激を作成し、その中の1対の刺激を用いて同時弁別訓練を行った。一方を強化刺激、他方を非強化刺激として高い正解率を示すまで訓練した後、両者の随伴性を繰り返し逆転させる訓練、逆転学習を行った。この逆転学習への順応が速やかになった後、弁別刺激としての機能を獲得したのはどの刺激であったかをテストした。その結果、図形、大きさのどちらを制御刺激とするかには個体差が示された。次に、複合刺激が複数の要素に分解可能なことを理解させる訓練を開始した。要素を大きさ、色、形の3次元が含まれた視覚刺激の可能な組み合わせを作り、そのうちの一部のみを用い、2対x2セット、合計4種類の刺激を用いて同時弁別訓練を行い、残りの刺激はテスト刺激として訓練せずに残しておいた。訓練習得後、テスト刺激への般化を検討した結果、はじめの弁別訓練時よりも多くの組み合わせ刺激への般化が示された。これにより、コモンマーモセットにおいて、段階的な弁別訓練を施すことにより、複合刺激の個別的制御と異次元刺激への般化という、再結合般化の基礎的能力が示されうることがわかった。
すべて 2011
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Animal Cognition
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